畑井らによる研究
畑井グループはナマズの行動と地震との関係に関して定量的な研究に取り組んだ.1931年10月15日から1932年5月15日まで,東北大学付属浅虫臨海実験所において,音響と振動とを遮断した研究室を設け(蝦名,1995),毎日3回,ナマズの入った水槽を指で軽くたたいた時のナマズの反応を調べ,次の5段階に分類した(HATAI
and ABE, 1932).
1. Very sensitive. |
Fish jump or often several fish swim about together. They, however, soon settle down and remain quiet. |
2. Sensitive. J |
Jump once and then remain quiet. |
3. Somewhat sensitive. |
Move their bodies slightly but soon remain quiet. |
4. Less sensitive. |
No response to sound.Stronger knock may induce very slight motion. |
5. Insensitive. |
No response even with a very strong knock. |
この実験結果から反応が1や2の時は,数時間以内に約80%の確率で地震を感じたと報告されていて,反応が3や4・5の時は地震がなかったとしている. また,水温が非常に低い時には状態3でも地震がある場合が認められた. このようなナマズの反応は,水槽の水が外界に流出入している時にだけ観察された.続いて地電流を同時測定しナマズとの関係を調べると(HATAI et al., 1932),地電流に急激な上昇,下降の変化があるときにナマズが活発になり,地震が発生するらしいと結論された.そして,ナマズの反応度は,地震の大きさではなく,震央距離が小さければ大きいという傾向が認められた.なお,ABE(1935),KOKUBO(1934)はこの研究の一環として,電気刺激と振動刺激との複合刺激に対する反応を研究した.その結果,ナマズが少なくとも2.0mV/cmの水中電場に反応することが示された.
東北大学付属浅虫臨海実験所
東北大学付属浅虫臨海実験所