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- 2021年2月13日の福島沖の地震
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2021年2月13日、23時8分頃、東北地方・福島県沖でマグニチュード7.3の地震が発生し、最大震度6強を観測しました。幸い死者は出ていないようです。
もし、この規模の地震が日本以外で発生すれば、建物倒壊を含めて極めて大きな被害が出ていた事は確実です。
これはいかに日本の建物が丈夫である事を意味しています。震度6強というのは、加速度で言いますと、350-600ガルに相当します(1ガル=1cm2/s)。ちなみに重力加速度は980ガルという数値になります。
たとえば韓国の原発は最大加速度200ガルを想定して建設されており、東日本大震災の後、韓国科学アカデミーは300ガルへのレトロフィット(耐震工事の追加)を政府に要求したのですが、どううも250ガルという事になった模様です。250ガルですと、震度6弱に相当します。韓国でも歴史的には2月13日のような規模の地震は歴史的には発生していますので、福島のような原発災害が今後日本海で発生する可能性も存在するのです。
東日本大震災のような超巨大地震では余震は10年どころか20年、30年と発生します。通常、最大余震は本震のマグニチュードより1程度小さいものが発生するというのが地震学での常識です。したがって東北地方でマグニチュード8程度の余震が発生する可能性は現在でも大きく残っているのです。
ちなみに東日本大震災の最大余震は本震発生直後に発生したマグニチュード7.6の地震です。
今回の地震は2016年の熊本地震や1995年の阪神大震災と同じ規模ですが、被害が少なかったのは1)震源が沖合であり、直上に人が住んでいなかった。2)地震発生の深さが55kmほど推定されており、比較的深かったためです(深いという事はそれだけ我々の住む地面から離れているため)。上のグラフの横軸は2010年から2021年となっています。余震は311直後に多く発生していますが、決して短期間で収束する現象ではありません。余震は10年20年と続きます。
私共は地震予知研究・火山噴火予知研究の推進のため、東海大学発のベンチャーと位置づけられるDuMA(地下気象研究所)という会社を立ち上げ、有料(月額210円)ですが、地下天気図を中心とした情報提供を行っています。ニュースレターの中でも今後詳しく解説ていきます。
- 横須賀市を中心とした異臭騒ぎについて
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三浦半島で今年に入って3度目の異臭騒ぎが8月21日に発生しました。
8月21日、午前中から横須賀市内で異臭がするとの報告が相次いてもたらされました。市や消防にガスのような臭いとの通報が40件以上あったとの事です。
実は横須賀市周辺では、今年に入ってから、6月4日に異臭騒ぎがありました。この時は三浦半島南部を中心に異臭があり、各地の消防局には合わせて300件以上の通報があったそうです。
過去の事例から原油タンカーなどが洋上でガス抜きを行って異臭の原因になる可能性もあるという事ですが、横須賀海上保安部は「海上で異臭を感じた船舶からの情報はなく、ガス抜きではないと考えられる」と発表しています。
同様に7月17日にも横須賀周辺で異臭騒ぎがあり、今回で3回続けての騒ぎとなっています。地震と異臭騒との関係
この異臭騒ぎが“地震の前兆”ではないかというSNS上の議論を引用した報道や、一部“専門家”と呼ばれる方(メディアが作ったエセ地震専門家です)がまことしやかに地震との関連性をコメントしています。ところが「地震の前に異臭がした」という事例は1995年の阪神大震災の前に数例の報告があるだけです。さらに東日本大震災の後の調査でも異臭に関する報告はなされていません。
それでは何故地震と異臭とが結びつくのかを考えてみますと、一つは上記の阪神大震災の事例が影響していること、次に火山活動の場合は当然火山ガスによる異臭があること、さらに地滑りや土石流等の土砂災害の前兆としては、政府広報にも「腐った土の匂いがする」という記載があることから、地震の前兆と勘違いされている可能性も存在します。
現時点では異臭発生と地震との間に明確な関係は示されていないと考えるべきですが、このような異常を頭から否定するのも科学的な態度とは言えないでしょう。異臭だけでなく、地震活動や地殻変動、さらには地下水位等の異常など、多角的な情報収集が望まれる所です。また今回の異臭騒ぎとは別に、8月21日という日付を指定した“地震予言”が一部で流布していたようです。現在の科学では、「地震活動が異常」、「地殻変動が通常と異なる」「地下水位が異常」という事は観測事実として言う事は可能ですが、これらの情報から日時を指定したような「予知」は不可能です。日時を指定した予知は根拠が無いとお考えください。私共は地震予知研究の推進のため、東海大学発のベンチャーと位置づけられるDuMA(地下気象研究所)という会社を立ち上げ、有料(月額210円)ですが、地下天気図を中心とした情報提供を行っています。ニュースレターの中でも詳しく解説しています。
- 深海魚出現と地震との関係
- 2018年大阪北部地震に関する論文が公表されました
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東海大学海洋研究所,研究報告第40号に以下の論文を公表しました。地震発生前の地震活動静穏化という現象について報告しています。
「2018年6月に発生した大阪北部地震(M6.1)に先行した地震活動の静穏化異常」
http://www.scc.u-tokai.ac.jp/iord/bulletin/files_for_bulletin/018-024_40Nagao.pdf - 「静岡で知っておきたい地震と火山と防災」を開催しました
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2018.11.21-2019.2.2 にかけて4回にわたり「静岡で知っておきたい地震と火山と防災」を開催しました.主催は公益社団法人ふじのくに地域・大学コンソーシアム、共催として東海大学海洋研究所が参加しています。
この講座では、所長の長尾年恭をはじめ、織原特任准教授、鴨川客員准教授が講師として参加しました。
https://www.global-center.jp/holding_guidance/310126/ - 鴨川仁客員准教授の早期津波予測システムが毎日新聞で紹介されました
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鴨川仁客員准教授(東京学芸大学准教授)と中部電力の共同研究で開発された早期津波予測システムが、毎日新聞夕刊, The Mainichiおよび電力時事通信で紹介されました。本システムは、地震予知・火山津波研究部門内のサーバーで実証実験として現在も可動中です(6月13日)。
http://mainichi.jp/articles/20180420/k00/00e/040/264000c
https://mainichi.jp/english/articles/20180420/p2a/00m/0na/021000c
http://www.denjiji.co.jp/list?ye=2018 - 鴨川仁博士が客員准教授に就任しました
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2018年4月1日、鴨川仁客員准教授が海洋研究所、地震予知・火山津波研究部門に着任しました。
鴨川准教授は、地球電磁気学的アプローチで岩石圏ー大気圏ー電離圏結合に関する地震先行現象の先駆的研究をしております。また、測位衛星データを用いた早期津波予測技術を開発し、中部電力との共同研究にてプロトタイプを完成させ、本部門において実証実験を行う予定です。また、NPO富士山測候所を活用する会の理事・学術科学委員長として、NPOに参画する火山噴火予知・防災に資する研究の取りまとめ、本部門の取り扱うテーマ全般を研究しています。
- 地震予知講演会を開催しました
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恒例となっております、関西サイエンスフォーラムと東海大学海洋研究所が共催する地震予知講演会を10月11日に開催しました。