横須賀市を中心とした異臭騒ぎについて
三浦半島で今年に入って3度目の異臭騒ぎが8月21日に発生しました。
8月21日、午前中から横須賀市内で異臭がするとの報告が相次いてもたらされました。市や消防にガスのような臭いとの通報が40件以上あったとの事です。
実は横須賀市周辺では、今年に入ってから、6月4日に異臭騒ぎがありました。この時は三浦半島南部を中心に異臭があり、各地の消防局には合わせて300件以上の通報があったそうです。
過去の事例から原油タンカーなどが洋上でガス抜きを行って異臭の原因になる可能性もあるという事ですが、横須賀海上保安部は「海上で異臭を感じた船舶からの情報はなく、ガス抜きではないと考えられる」と発表しています。
同様に7月17日にも横須賀周辺で異臭騒ぎがあり、今回で3回続けての騒ぎとなっています。
地震と異臭騒との関係
この異臭騒ぎが“地震の前兆”ではないかというSNS上の議論を引用した報道や、一部“専門家”と呼ばれる方(メディアが作ったエセ地震専門家です)がまことしやかに地震との関連性をコメントしています。ところが「地震の前に異臭がした」という事例は1995年の阪神大震災の前に数例の報告があるだけです。さらに東日本大震災の後の調査でも異臭に関する報告はなされていません。
それでは何故地震と異臭とが結びつくのかを考えてみますと、一つは上記の阪神大震災の事例が影響していること、次に火山活動の場合は当然火山ガスによる異臭があること、さらに地滑りや土石流等の土砂災害の前兆としては、政府広報にも「腐った土の匂いがする」という記載があることから、地震の前兆と勘違いされている可能性も存在します。
現時点では異臭発生と地震との間に明確な関係は示されていないと考えるべきですが、このような異常を頭から否定するのも科学的な態度とは言えないでしょう。異臭だけでなく、地震活動や地殻変動、さらには地下水位等の異常など、多角的な情報収集が望まれる所です。また今回の異臭騒ぎとは別に、8月21日という日付を指定した“地震予言”が一部で流布していたようです。現在の科学では、「地震活動が異常」、「地殻変動が通常と異なる」「地下水位が異常」という事は観測事実として言う事は可能ですが、これらの情報から日時を指定したような「予知」は不可能です。日時を指定した予知は根拠が無いとお考えください。
私共は地震予知研究の推進のため、東海大学発のベンチャーと位置づけられるDuMA(地下気象研究所)という会社を立ち上げ、有料(月額210円)ですが、地下天気図を中心とした情報提供を行っています。ニュースレターの中でも詳しく解説しています。