設立趣意書:設立発起人代表 力武常次
兵庫県南部地震による阪神・淡路大震災を契機として、わが国の地震予知のあり方が問われている。特に地震発生に先行する現象(前兆現象)を確実に捉え、短期予知を実施し、震災の削減に資することは喫緊の重要課題となっている。
一方、種々の周波数領域の電磁気学的観測などにより、短期予知に有望な前兆現象が多数の研究者によって確認されている。特にギリシャではVAN法が10年以上にわたって短期予知を実践し、人命などの震災を最小限にした事実も報告されている。わが国でも各種の短期予知法が研究されており、地殻活動に伴う地中・空中・電離層内の連鎖的電磁界変動現象のメカニズムの研究や、地震発生の科学的・実証的な研究なども意欲的に取り組まれている。
また、非一様性に富む地殻の破壊である地震の予知には、総合的な判断が不可欠である。換言すれば地震予知は地震活動・地殻活動のみならず、電磁気学的情報、地下水、地球化学情報など前兆現象とみられる10数種類以上の観測結果を、総合的に分析・評価し判断する必要性があり、そのためのネットワークとデータベースシステムを構築しておく必要がある。更に、これらの現象の物理学的機構を解明するためには、電源過程モデルなどを取り入れた基礎研究を推進する必要がある。
このような認識に基づき、電磁気学的手法を中心として、従来の学会や組織の枠を越えたSEMS(Seismo ElectroMagnetic Signals)研究会の創立をここに提案するものである。
2004年8月22日午前11時5分、力武常次博士は肺炎のため逝去されました。謹んで御冥福をお祈り申し上げます。
* 追悼 力武常次先生(日本地震学会ニュースレター, Vol.16 No.4 November 10, 2004)| 力武常次名誉会員を偲ぶ(地球電磁気・地球惑星圏学会第184号会報)
設立発起人(敬称略・50音順:所属は当時)
上田 誠也:東海大学地震予知センター
上嶋 誠:東京大学地震研究所地震予知研究推進センター
歌田 久司:東京大学地震研究所
榎本 祐嗣:通商産業所工業技術院機械技術研究所
大崎 俊彦:株式会社富士総合研究所
木川 栄一:富山大学教育学部
木下 正高:東海大学海洋学部
笹井 洋一:東京大学地震研究所
長尾 年恭:金沢大学理学部
早川 正士:電気通信大学電気通信学部
藤縄 幸雄:科学技術庁防災科学技術研究所
力武 常次:財団法人地震予知研究振興会
活動内容
1. 電磁気その他の前兆現象に関する研究・討論会の開催
2. 共同研究の立案と申請及び情報交換
3. 多地点同時観測の促進
4. ネットワーク等を利用したデータ交換とリアルタイム情報解析の促進
5. SEMS解明のための理論的研究、モデル解析、実験等の研究・立案
6. 実用的な地震予知技術の研究・立案
7. 国際交流活動
* 入会希望者は氏名、所属、自宅住所(差し支えなければ)とともに、研究会事務局まで御連絡下さい。