第25回SEMS研究会総会&第62回地震電磁気セミナー

25th SEMS General Assembly Meeting & 62nd Seismo-Electromagnetics Seminar

 本セミナーは、地震電磁気学について学生・院生等のスキルアップ、研究者の相互理解等を主たる目的としています。
 今回は東日本大震災の特集です。また、秋には2nd International Demeter Workshopがパリで開催されることもあり、昨年の第59回地震電磁気セミナーに続いて衛星観測報告も歓迎します。
 加えて来秋開催予定のEMSEV2012の一般講演会プレイベントとして開催します。
期日:2011年5月28日(土)10:30-16:45
場所:日本科学未来館7階 会議室1 【当日は通用門よりお入り下さい
交通アクセス:ゆりかもめ 船の科学館 or テレコムセンター
お問い合わせ及び連絡先:
       東海大学    長尾年恭 E-mail:( nagao@scc.u-tokai.ac.jp )
       東京学芸大学  鴨川 仁 E-mail:( kamogawa@u-gakugei.ac.jp )
       日本科学未来館 松山桃世 E-mail:( m-matsuyama@miraikan.jst.go.jp )

プログラム

地震電磁気セミナー(10:30〜15:00)
10:30-11:00 柿並義宏(北海道大学)
福島第一原発爆発事故に伴う電離圏擾乱 −原発からの放射線は電離圏を変えられるのか?−
Kakinami et al., Ionospheric disturbance associated with radiation accidents of Fukushima I nuclear power plant damaged by the M9.0 2011 Tohoku Earthquake, Advances in Space Research, doi:10.1016/j.asr.2011.08.007. [日本語解説]
11:00-11:45 森谷武男・茂木 透・山下晴之(北海道大学)
VHF帯電磁波の異常伝播観測による地震予報 −東北地方太平洋沖地震の8カ月前から観測されていた異常伝播− [pdf]
* 参考:8カ月前から電波異常 北大研究グループ観測 「地震前兆の可能性」(北海道新聞)


12:45-13:30 芳原容英・早川正士(電気通信大学) 
3月5〜6日に現われたVLF波の夜間振幅変動
* 参考:地震は電磁気学を応用すれば予知できる(マイコミジャーナル)
     今後の地震予知について 早川正士(電気通信大学 名誉教授)インタビュー (科学未来館)
Hayakawa et al., Possible precursor to the March 11, 2011, Japan earthquake: ionospheric perturbations as seen by subionospheric very low frequency/low frequency propagation, Annals of Geophysics, Vol 55, No 1 (2012)
13:30-14:15 日置幸介(北海道大学)
地震40分前に始まったTECの正異常:2010年チリ地震および2004年スマトラ地震との比較 [pdf]
Heki, K. (2011), Ionospheric electron enhancement preceding the 2011 Tohoku-Oki earthquake, Geophys. Res. Lett., 38, L17312, doi:10.1029/2011GL047908.
14:15-14:40 鴨川 仁(東京学芸大)・柿並義宏・渡部重十(北海道大学)・劉 正彦(國立中央大学)・渡辺泰行(東京学芸大)
コサイスミックGPS-TEC変動 - Seismo-tsunamigenic ionospheric hole -
2. Japan's big earthquake shook the ionosphere (AGU journal highlights -- July 29, 2011)

The giant 11 March 2011 magnitude 9 Tohoku earthquake not only shook the Earth and caused devastating tsunamis but also rattled the ionosphere, according to a new study. The surface seismic waves and tsunamis triggered waves in the atmosphere. These atmospheric waves propagated upward into the ionosphere, creating ripples in ionized gas nearly 350 kilometers above the Earth.

Liu et al. measured these disturbances, called seismotraveling ionospheric disturbances (STID), using GPS receivers in Japan. The first disturbance appeared as a disk-shaped increase in electron density in the ionosphere about 7 minutes after the earthquake. Sequences of concentric waves of increased electron density then traveled from the STID center. Similar ionospheric disturbances have been observed following other earthquakes, but these were the largest ever seen, the authors report.

Source: Journal of Geophysical Research-Space Physics, doi:10.1029/2011JA016761, 2011
14:40-14:50 望月香織(東京学芸大)・橋本 哲(大阪府立大)・鴨川 仁(東京学芸大)
東日本大震災の地磁気変化

14:50-15:00 中谷祐太・鈴木裕子・大洞行星・鴨川 仁(東京学芸大)
本震前後の地震活動度変化
SEMS研究会総会(15:00〜16:45)
15:00-16:00 串田嘉男(八ヶ岳南麓天文台長)
地震予報への試み [pdf]

16:00-16:30 長尾年恭(東海大学)
地震予知研究シンポジウム報告及びEMSEV2012に向けて

16:30-16:45 上田誠也(日本学士院)
東日本大震災以降の地震予知研究(仮題) [pdf]
* 17:00には施錠して鍵を返却しなければならないので、終了後は至急退出願います。

関連報道

  • M9大震災、正体に迫る3つの手掛かり 学会報告相次ぐ(2011/5/30 日本経済新聞)
     大震災の前兆とみられる現象をとらえたとする発表もあった。地震を起こした断層が発生前にわずかに動く「前兆すべり」の観測はなかったが、震央上空の電離層の異常を観測するなど電磁気現象の報告があった。
     北海道大学の日置幸介教授らは、地震の約40分前から震央上空300km付近の電子の量が異常に増える現象を全地球測位システム(GPS)衛星の電波を使って観測した。チリ地震(2010年、M8.8)やスマトラ沖地震(2004年、M9.1)でも同様の現象を確認。「M8を超える地震の直前予知に有望」(日置教授)という。千葉大学の服部克巳教授らもGPS電波を使い上空の電子の増加を、地震発生1、3、4日前に観測。過去に国内で起きたM6以上の地震を調べたところ、発生1〜5日前に共通した現象が起きていた。(参考:地震に関連するGPS-TEC 異常
     北大地震火山研究観測センターの森谷武男博士らは「地震エコー」と呼ばれるFM電波の伝播異常を観測。異常が昨年6月末からほぼ毎日続き、3月9日までにM8〜9の地震が起きるレベルに達した。震災直後も再び現われ5月も継続。「場所は特定できないがM7.3程度の地震が今後起きるレベル」(森谷氏)。
     地震の前に電離層などに異常が起きる理由は不明だが、予知に役立てる試みが国内外で進む。

    SCG069-P01 地震に先行するVHF帯電波異常伝播の多点同時観測とその到来方向 山下晴之, 茂木透, 森谷武男
  • 東日本大震災が教えた宇宙インフラの利用価値(技術と経済, 6月号)
     今回の大震災については、ロシア宇宙システム所長のYuri Urlichichが3月8日の地震の7時間前に、日本近辺での電子密度変動を観測していたとのことである。このことを伝えるロシアの発表は3月12日で、今となっては後付けの感があるが、電磁波観測による地震予知に関心がある人は、当日地震発生直後にはその報告に接していた。地上の施設でも、茨城県柿岡にある気象庁の地磁気観測所では、大地震発生以前に空間電磁波の異常を検出している。このような研究者の努力をもっと活用できないものかと思う。災害対策の一環として有用な情報を収集するという姿勢さえあれば、常時目配りできるのではないだろうか。
     現在、欧州連合(EU)とロシアは、共同で「PRE-EARTHQUAKES」という研究を開始している。EUとロシアの研究者が双方の研究手法を相互評価することによって、地上と衛星の異なるデータ統合及び改善を目的とし、以下のようなことを目標にしている。(中略)
     我が国はまだこのような動きから後れをとっていると思われる。地震が起こってしまってからしか地震発生を知ることができない地震計と比べて、より早く前兆現象により地震発生の可能性を察知できる衛星による電磁波観測の研究は実用的価値があると筆者は考えている。
  • 地震火山部会 観測研究計画推進委員会(第9回)(2011/8/8 測地学分科会)
     東北方面の電波を観測している場所は札幌観測所で青森県八戸のFM放送をモニターしていたが、明瞭な変化は見られていない。しかし、えりも観測所で89.9MHz(北海道・中標津FM局)の電波を観測していたところ、2010年6月27日より明瞭な異常が観測され(図11)、1日当たりの異常観測時間の総和は2010年10月頃をピークとして減少し、異常は2011年2月25日まで続いた。その後しばらく観測されなかったが、3月5日よりまた異常時間が増加していて、6月30日現在でも異常時間が多い状態である。
     89.9MHzの電波は岩手県北部の葛巻町や種市町にあるFM 放送局からも発信されており、これによる電波が異常伝播したと考えることもできる。これら場所とえりも地域とを結ぶと東北太平洋地震の震源域の北部を通る。もし、これが地震に先行する電波伝播異常とすれば、その異常観測時間の総和は20万分以上になり、えりも地域で経験的に作れられた観測時間総和とマグニチュードとの関係式によれば、この総和時間はマグニチュード8〜9クラスの地震に関連する。3月11日の地震後再び1日当たりの異常観測時間は増加しており、今後大きな地震が起こる可能性があるかもしれない。(参考資料3-1-1「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」の実施状況等のレビュー「平成23年東北地方太平洋沖地震」取りまとめのための資料 [PDF:1332KB])
  • Bowie Lecture: GPS Array as a Sensor of Lithosphere, Troposphere and Ionosphere (AGU Fall Meeting 2011)
    * 日置先生のページ:新聞/雑誌の記事 News Articles

  • [地震電磁気セミナー]