[001/001] 133 - 参 - 決算委員会 - 閉2号
平成07年09月13日

海老原義彦君 各種施設の補強、手三百億、千三百億、合わせて二千六百億、そういったところを当面考えておるということでございますね。ありがとうございました。
 さて、地震の問題でもう一つ伺いたいと思います。それは地震の予知技術でございます。
 従来から、地震予知につきましてはいろいろな方面で研究されておるけれども、なかなか決め手がない。今度また新しい手法が導入されようとしております。これはギリシャで行われておるVAN法というものでございますが、これは新聞報道によりますと物すごく有望なんだという話でございますね。
 これは技術的なことで恐縮でございますが、VAN法の原理と、それから日本においてどのように実施しようとしているかということとをお話しいただきたいと思います。

○説明員(二宮洸三君) 先生御指摘のように、現在地震予知につきましては決め手となるものが非常に乏しい現状でございます。このVAN法と申しますのはギリシャの地震学者が開発した方法でございまして、開発された三人の方の頭文字をとってVAN法と呼ばれているものでございます。
 地震の発生の前に、地殻に力が、ストレスがかかった場合に結晶あるいは岩石にひずみが生じまして、それから電位差が生ずる。それからまた同時に、今申しましたストレスに対応しまして地殻の電気的構造が変わります。それに伴いまして電位差が観測されるというものでございます。その観測されます電位差は非常にわずかなのものでございまして、一キロメートルあるいは十キロメートル当たりわずかにミリボルトの単位という非常にわずかなものでございます。
 ギリシャにおきましては、観測ネットを張りまして、今申しました電位差を測定いたしました。その結果、成功率でございますけれども、成功したという予知の期間につきましては数時間ないし数週間前ということでございます。それから、発生した震央の予測誤差というのは半径にして大体百キロメートル、そして発生すると予知しました地震の規模、マグニチュードの誤差が〇・七というものでございまして、この程度の誤差と申しますか確率の中で七割程度の成功が見られたというふうに言われているわけでございます。
 ギリシャ付近の地震と申しますのは日本のものとはやや異なってございますし、ギリシャの地質構造あるいは一般の電気的ノイズというふうなものの発生状況は日本とは非常に異なっているかと存じております。気象庁といたしましては、これが将来有望な方法の一つというふうに考えてございまして、先ごろギリシャに専門家を派遣いたしましてギリシャの実況をつぶさに見てまいりました。これに基づきまして、これが将来一つの予知の有力な方法になり得るという可能性を探るために、今回第一次の補正予算によりまして淡路島北部に観測網を展開しようとしておるところでございます。淡路島におきましては現在も余震活動がございまして、そこでは断層付近の応力というふうなものもございますし、余震が発生しておりますので、今後ここでネットワークを張ることによりましてそれらについてのこの方法の実態が調査されるものと思っております。
 なお、日本におきましては非常に電気的ノイズが多いわけでございますので、検出されたシグナルが本当に地震に関連したシグナルであるのか、あるいは電気的ノイズであるのかということの判定も非常に難しいものと想像されます。したがいまして、今回の調査研究におきましてはシグナル検出のためのノイズの除去ということも大きな研究テーマでございます。これによりまして、これらの方法のいろいろな改善あるいは将来の見込みについての調査が進むものと期待しているところでございます。

○海老原義彦君 伺っておりますと、ギリシャにおいては大変な成果があるということでございますし、これを日本に実用化させるには、やはり日本の岩石の条件が違うとかあるいはノイズが多いとか、そういう問題で非常に慎重なお話でございました。  このノイズの問題でございますけれども、日本にもノイズの少ないところはある、そういうところであればよろしいのか。また、ノイズを除去するということも、これもいろいろと研究対象としておもしろい問題だろうと思うんですが、やりがいがあって、またできる問題かもしれないなという感じもいたしますけれども、その辺のところはいかがでございましょうか。

○説明員(二宮洸三君) 今申しましたように、ノイズの除去にはいろいろな方法がございます。たくさんのネットワークを組み合わせることによりまして、あるいはそういったものに共通にあらわれるものということでノイズを除去することが可能であろうと考えております。
 先生御指摘のように、これらの実験は比較的ノイズの少ないところから始めることが当然必要かと思ってございまして、その意味では、今回淡路島北部を実験のフィールドとして選定いたしましたのは、先ほど申し上げましたように現実に断層付近のストレスが現在もあるということと余震が続いているということ、それからまた大都市周辺と違いましてこの地域では比較的ノイズが少ないであろうということも想定いたしまして、ここで実験的な観測を開始しようとしているわけでございます。

○海老原義彦君 いろいろと御説明ありがとうございました。この実験が成功をして全国的に観測網がつくられるというようになることを期待いたします。

Source: 第133回国会 決算委員会 第2号