第132回国会 科学技術委員会 第2号
平成七年二月十五日(水曜日)
○原田(昇)委員 予知の体制についてちょっとお伺いしたいのですが、大変わかりにくいのですね。文部省に測地学審議会があり、科学技術庁は長官が本部長で地震予知推進本部というのがあり、それで国土地理院に予知連絡会があって、このどこが一体本当に責任を持って情報を集め、あるいは予算を配分しているのか、大事なところに予算をつけてやっておるのかということが我々としては大変わかりにくいのです。
例えば、今度の阪神地域の大地震についても、そもそも特定観測地域として何か予知連絡会では指定しておったその端っこにあるということであります。
では、その特定観測地域で何をやっていたのか。特別に何か余計予算をつけて観測をやったのかというと、地震が終わってから大学とか方々から来て地震計を設置した。余震を見るために来たのでしょうが、終わってからの話なんですね。余りどうも特別に観測網を整備したという跡が見られない。私は大変遺憾だと思う。
やるのなら、国民にわかりやすい形でしっかりした体制のもとにやり、しかも、その結果が少なくともみんなが共有してわかるような仕組みをつくって、そして評価をするという体制にしなければ、本当にこれでは予知体制というのは、予知ということまでいかないにしても、先ほど茂木先生のお話のトレンチで少し調べたらどうかというお話もありますし、少し体系的にきちっとやられることを考えていただかなければいかぬのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○田中国務大臣 私も原田先生に全く同感でございます。
今回の震災で、それぞれ研究は各省庁、気象庁でありますとか国土地理院、科技庁、それぞれ担当は別に研究はしているかもしれませんけれども、こういうことが起こったときに機能していなかったのではないかという気持ちは否めません。ですから今、三月末からはインターネットで情報交換をして、気象庁に一括して集めるという計画もございますけれども、それだけで果たして十分かどうかわかりません。
それから、特定観測強化地域につきましても、それがそこだけ観測していればいい問題ではないと思います。日本じゅう全体が断層の上に、活断層の上に成り立っているわけですから、そういうことも全体的な観測をして一カ所でもって判断をしていく、そして、それを知らしめていくというようなシステムづくりは急務だろうというふうに思っております。
○原田(昇)委員 もう長官のおっしゃるとおりで、我々も大いにバックアップさせていただきたいと思います。
それから、観測網の整備計画というのを、少なくとも科学技術庁が推進本部であるのなら、しっかりしたものをあれして、そして予算もそこからつける。そして、結果の利用は予知連絡会なりどこかでやっていただくとか、ちゃんとしたものは要ると思うのですね。そして、そこが責任を持ってその観測の不足を、足らざるところを整備していく。そして予算措置も、これは今度生活枠のようなものがありましたね。公共事業の生活枠、あれをああいうことでひとつ大量にきちっと十分な観測網のための予算の裏づけをしていただくということが私は大事ではないかと思います。答弁は要りません。まあともかく時間がございませんので、要望しておきます。
そして、さらに一つだけ申し上げたいのですが、これは茂木先生にお伺いしたいのですが、地震波とか地電流というのが、最近ギリシャはその方で国際会議をやるというように伺っております。何かそれだと、前ぶれがあったとかいろいろ新聞なんかで拝見するのですけれども、この方をもう少し調査に活用できないかな。これはやってもむだなのか、やる価値があるのか、やるとすればどうすればいいのか、その辺について最後に伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
○茂木参考人 新聞等でギリシャでは地震予知に成功したという記事が報じられておりますが、地震、私どもはあらゆる方法、使えるものは何でも使うという考えです。ですから、地電位でも電波でも地下水、そういった地震観測、地殻変動だけじゃなくて、実際そういう電気、地電位とか地磁気、そういったグループもございますのでやっておりますが、確かに力の入れようが必ずしも十分ではなかったと思いますので、もっとそういう方面を強化したいと思うのです。
それで、ギリシャの話でございますが、成功したと申しますが、実は精度が、一つギリシャでは電気のノイズが非常に少ないのですね。ところが日本は、特に都市部では電気のノイズが物すごく大きくて、とてもあのままでは日本では適用できません。
それから、予知に成功したと言っておりますが、場所にして百キロぐらい違っても成功したと言っているのですね。それから、マグニチュードにして〇・七ということは、エネルギーにすると十何倍違う、そういうようなこと。それから、期間にしても二十日ぐらい、そういう非常に大ざっぱな話でございまして、日本のようなこういう経済活動の盛んな国でそういった大ざっぱな予報は、恐らくとてもできない。だから、直ちにギリシャの方法が使えるということはないのですが、そういう方面での研究は僕は大いに賛成でございます。
○上田(晃)委員 ぜひとも早急によろしくお願い申し上げます。
続きまして、新聞報道でございますけれども、防災科学技術研究所、防災研の研究官の方が今回の阪神大地震の発生前に電磁波の異常を観測していたとされる、このような新聞報道がございます。これが事実であるのかどうかということと、最近の防災研の中での電磁波研究の状況、この辺についてお尋ねさせていただきたいと思います。
あわせて、火山噴火と地震の関連、この辺についての研究等は今どのように進んでおるのか、ここもお聞かせください。
○沖村政府委員 防災研の研究者が電磁波の研究を行っておりまして、それにつきまして新聞報道がされまして、そのとおりでございます。
この点につきましては、先ほども原田先生の御質問がありまして、茂木先生からもお答えがございましたけれども、地震の研究につきましていろいろな手法がございまして、これにつきましては幅広い取り組みをしていきたいというふうに考えておりますし、防災センターの方でも火山研究、いろいろなことをやっておりますが、関連をつけまして今後ともそういう研究をやっていきたいというふうに思っております。
○上田(晃)委員 次には、技術的な問題ではなくて制度的な問題でございますが、予知連、これにつきましては、やはりいろいろな御意見があるわけでございます。
ある方は、例えば仮称第二予知連とでも申しましょうか、このような場を設けまして、現在以上にさまざまな研究者の意見を持ち寄って、もっとオープンに、ある意味では、クローズドの中での議論ではなくて、先ほども会長もおっしゃっておりましたが、さまざまな注意予報も含めまして、研究状況を国民に広く公開してしまった方がいいのではないのか、こういう場を設定すべきだ、このような御意見もかなり出ておられるかと思います。この辺のいわゆる予知連の制度改革と申しましょうか、制度強化と申しましょうか、この辺のところは今回の地震にかんがみまして検討の余地があるとお思いですかどうか、この辺をお願いいたします。
○田中国務大臣 私は、大いにあるというふうに考えております。
それと申しますのは、先ほど原田先生のお尋ねのときもお答え申し上げましたけれども、予知の学者の方も法律自体に縛られているといいますか、御本人が地域についてはかなり特定できるというふうな話を、この間、二月十日のときは直接伺ったのですけれども、あの後また少し発言も慎重を期しておられるやに私はお見受けしているのです。
そうであったら、やはりそういう情報を公開して、それを生活者みんなに還元していく。国会はもちろんですけれども。そうでなければ何のための予知連なのか、予知学者なのか、こう言うと申しわけないのですが。そういうことを今回みんながよくわかったと思いますね。今までは、多分専門家がやってくれと言うんじゃないだろうかと思っていたのです、これは占いじゃありませんので、やはりもっと情報を公開にして、共有することによって、避難にしろ防災なり考えていくべきだろうというふうに思っております。
○上田(晃)委員 大臣から大変明確な御指摘をいただきましたので、どうかその方向で、予知連の制度改正をすべき点があれば鋭意お進めいただきたい、このように思うところでございます。
次に、先ほども少々触れさせていただきましたが、リアルタイム地震防災システムと申しましょうか、最近は地震情報の収集、解析、このスピードはコンピューター時代で大分アップしてきたわけでございますので、地震が起きて、いわゆる災害を極小化に抑えるためには、さまざまなシステムの運用によってはかなり可能であるというところまで来ていると思います。
地震予知推進本部の本部長であられる大臣といたしまして、また科学技術庁長官といたしまして、いわゆる地震が起きた、被害を極小化に抑える、そのための情報から避難誘導からさまざまな問題も含めましてのトータルなシステム開発と申しましょうか、この辺はぜひとも科学技術庁でひとつしっかりリーダーシップをとってお進めいただいた方がよいのかな、このようにも思いますが、御決意のほどはいかがでございますか。
○田中国務大臣 これこそまさしく縦割り行政の弊害もかなりあるのかなと思っておりますので、科技庁中心がよろしいのか気象庁中心が、これはまた専門の皆様の御意見もよく聴取いたしまして、そういう方向に持っていければというふうに思います。
Source: 第132回国会 科学技術委員会 第2号