「地下天気図」とは、地震活動をあたかも天気図のように可視化し、異常を低気圧と表現しています。具体的に地下天気図では地震活動静穏化という現象を”異常”としております。これは地震学で認められている数少ない前兆的な変動です。
地下天気図は気象で言えば「天気概況」に相当するもので、今の状態がわからなければ未来を予測する事は不可能です。
我々は、この情報を発信するための大学発ベンチャー企業(DuMA)を設立し、短期・直前予知研究を推進する大学/研究者を支援しております。
2019年6月18日、新潟県と山形県の県境沖合で、マグニチュード6.7の地震が発生しました。
地下天気図では、6月10日配信のDuMAニュースレターで、近傍で静穏化が観察されていた事を報告させて頂きました。(https://www.duma.co.jp/)
ただ、過去の経験則から1)地震は静穏化が解消してから、2)静穏化の中心部より周辺部で地震が発生する場合が多いと考えていますが、大阪北部地震や今回の山形県沖の地震では、静穏化が解消する前に地震が発生致しました。
また大阪北部地震では、静穏化と同期したゆっくり地震(マグニチュード6.6ないしそれ以上)が紀伊水道で発生していた事も海上保安庁から報告されており、ゆっくり地震と静穏化などの関係は今後の重要な研究課題です。
地下天気図解析は発展途上であり、決して完璧ではありません。東海大学/DuMAでは今後も継続的に監視を続け、サイエンスを進めていきたいと考えています。
2018年6月18日早朝、大阪で震度6弱を観測する地震がありました。
地震予知・火山津波研究部門のトップページで、大阪を中心とする近畿地方に先行して出現していた地震活動静穏化異常について触れています。
2018年4月9日午前1時32分、島根県西部を震源とするマグニチュード6.1の地震が発生し、震度5強を記録しました。
この地震は2017年以降、陸域で初めてマグニチュード6を越えた内陸直下型地震でした。マグニチュードは当初の5.9から6.1へ修正されました。この結果、地震のエネルギーは阪神大震災や熊本地震の約1/60程度の地震となりました。
東海大学/DuMAでは、2017年6月19日のDuMAニュースレターで以下の情報を提供しており、この地震の先行的な変動をとらえる事が出来たのではないかと考えています。
2016年4月の熊本地震
2016年4月14日から、熊本県を中心とする激しい地震活動が開始しました。私共の東海大学農学部の学生も大きな被害を受けてしまい、痛惜に耐えません。被災された方に心よりお悔やみ・お見舞い申し上げます。
熊本地震、鳥取県中部の地震に関する成果を追加しました。
東海大学発のベンチャーとも位置づけられ、地震予知研究のさらなる加速のために設立されたDuMAでは、熊本地震に関連する情報を始め、地下天気図(R)などを毎週ニュースレターとして発行しています。現在はまだいつ、どこで、どれくらいを正確に予測する事はできません。しかし、国が「30年で何パーセント」という、極めて長期的な予測しか示していない状況を少しでも改善したいと考えています。我々はそれを「今後1ヶ月から1年」といった時間スケールまで狭めていきたいと考えています。
これまでのニュースレターはこちらからご覧になれます。
なお、DuMAの収益は委託研究等を通じて東海大学を始めとする、短期・直前予知研究を行っている大学(中部大学、静岡県立大学、千葉大学等)に還元して参ります。
また官公庁の防災担当者の方々には基本的に無償での提供を行っています。配信を希望される防災担当者の方は webmaster@ のあとに、sems-tokaiuniv.jp
としてメールを頂戴できれば申込書をお送りいたします。
ちなみに地下天気図の計算は気象庁ウエブサイトで公開されています「一元化震源暫定リスト」と防災科学技術研究所のHi-net地震観測網のウエブ公開データを用いています。ここに関係機関の方に謝意を表します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
はじめに
地震予知の実現は固体地球科学における最後のフロンティアとも言えるものです.特に東日本大震災以降,「地震予知は困難である」という論調がみられます.
確かに発生時期・場所・マグニチュードをピンポイントで予測する事は極めて高い目標ですが、近年、新たな動きが進んでいます.
その一つが当海洋研究所、地震予知・火山津波研究部門も推進している電磁気学的な短期予知の手法であり,ここで紹介します「地下天気図プロジェクト」です.
地下天気図の見方(pdf、必ずお読み下さい)
「地下天気図」とは、現在の地下の状態(地震発生の状態)を天気図のように可視化したものです.地下天気図の作成に使用しているのは、地震がいつ、どこで発生したかというデータ(地震カタログデータ)です。当部門では、「まぐまぐ」を通じニュースレターの配信を5月から開始しました(月額216円)
http://www.mag2.com/m/0001672594.html
地震活動度変化とは?
日本列島およびその周辺海域で、どれくらい地震が発生しているかを知るためには、地震計を沢山配備して観測する必要があります。
いつ、どこで、どれくらいの大きさの地震が発生しているのかを記載したリストを「地震カタログ」と言います。日本では気象庁が最終的に全国の大学や、防災科学技術研究所、海洋研究開発機構等のデータをとりまとめています。また防災科学技術研究所でもHi-net(高感度微小地震観測網)のデータを公開しています。また気象庁もホームページで全国の大学や防災科学技術研究所等で観測された地震カタログ(一元化地震カタログ)を公開しています。
阪神大震災以降、このHi-netの整備が進んだ事で、日本は世界最高水準の地震観測網を得たのです。
東海大学海洋研究所 地震予知・火山津波研究部門のウエブに戻る